おはようございます。みそさんです。
みそさんはトロンボーン吹きなのですけど、金管楽器を吹く人にとって「アンブシュア」ってけっこう重要ですよね。(木管楽器だってそうなんだと思いますけど)
みそさんはプロフィールのページでも書いていますが、「少数派」なアンブシュアをしておりまして、いろいろなことが何年も何年も上手くいかないと嘆いていたのですけど、それがある日突然ちょっとしたきっかけであっさりと解決した経緯がありますので、今日はそんなお話をしたいと思います。
理想と言われるトロンボーンのアンブシュア
人によって言うことは多少違うと思いますが、概ねこんな感じではないかと思います。
- マウスピースを当てる左右の位置は唇の真ん中
- マウスピースを当てる上下の位置は上唇側2:下唇側1
- マウスピースを当てる位置はどの音域でも常に一定
- アンブシュアはどの音域でも極力動かさない
- 顎を(下方向に)張る
- 唇を横に引きすぎない etc.
みそさんが自分で統計をとって調べたわけではありませんけど、実際にそのように心掛けて吹いている人は多いように感じます。中学生なんかで楽器を始めたばかりの人に対しては、鏡の前で練習させたりするのもポピュラーな事だと思います。
ですが、少なくとも左右の位置に関しては当事者の歯並び等によって個人差がありますし、仮に左右どちらかに偏っていたとしても無理に矯正する必要は無いと言うのが通説でしょう。
マウスピースの上下位置についても個人差があることを皆さんご存知だと思いますが、それでも理想としては上唇2:下唇1なんだと思っている人が多いのでは無いでしょうか。かつて私もそうでした。
「唇を横に引きすぎない」については理解できます。引きすぎると喉に不要な力が入るし、音も良くないし、疲れるのも早い。
「顎を張る」については、今でもよくわかりません。出来ているのかもしれないし、出来ていないのかもしれない。顎を張ることは本当に必要な事なのか。顎を張らないと何が問題なのか。これはまだ自分の中では答えが出ていません。
みそさんのアンブシュア
私が楽器を吹き始めたのは小学4年生のとき。最初はトランペットを吹いていました。その後、ユーフォニアムを経てトロンボーンに落ち着いたのは高校1年生のときです。
最初の頃のアンブシュアがどうだったか覚えていません。アンブシュアを気にするようになったのはずっと後のことで、大学生になってからです。
私のアンブシュアは右に少しずれていて、上下バランスで言えばほぼ1:1。それも少し下唇寄りです。
当時の私は跳躍もリップスラーもハイトーンもペダルトーンも何もかも苦手で、音程は高くなりがちでした。音色は明る過ぎて「クラシック音楽向きでは無いかもね」と言われたこともあります。それまであまりアンブシュアの事を考えたことがなかったのですが、山積みとなった自分の演奏の問題点について考えるにあたり、アンブシュアの修正が必要なのではないかと考えるようになったのです。
アンブシュア修正の黒歴史
長期戦を覚悟してアンブシュアの修正に取り掛かりました。
フィリップ・ファーカスの本やデニス・ウィック等の本を読みまくり、鏡を見ながらマウスピースの位置を上唇寄りに修正し、楽器を付けて吹くときも、演奏の内容よりもアンブシュアを保てているかどうかに意識が集中し、「修正前のアンブシュアの方がずっとラクで上手く吹けるのに」と思ったり、休憩時間に鏡を見てマウスピースの跡が想定通りの位置ではないことに落胆して自己嫌悪に陥り。。ええ、黒歴史でございました。
同時進行でブレスコントロール、声楽的な息のアプローチ、ソルフェージュ訓練のやり直しなどを続けて、約1年くらいそんな状態が続いたでしょうか。
アンブシュアの事を考えるのをやめた
大学2年生の夏休みが終わる頃、何がきっかけだったのかよく覚えていませんが、自分が随分気持ちよく演奏できていることに気が付きました。録音して聴いてみても悪くない出来でした。
アンブシュアはどうだったかと言うと吹いている時はあまり考えていなくて、演奏後に唇についたマウスピースの跡も以前のままで直っていませんでした。でも、こういう演奏ができるんなら、無理にアンブシュア直さなくても良いんじゃないか?という考えに至り、その時点でアンブシュアの修正は中止することにしました。
夏休み明けの最初のレッスンのとき、気分良く演奏している私を見て「お前一体どうした?何があった?」と先生が驚いていたのを思い出します。
その後、アンブシュアを必要以上に気にするのはやめたのですが、それでも調子が悪くなったときや上手くいかない事があると「やっぱりアンブシュアのせいなのではないか」という考えは拭い去ることが出来ず、大学を卒業した後も「自分は間違っているのではないか」という疑いの目はずっと残りました。
バジル・クリッツァー先生
私は30歳になった頃に一度、「楽器を吹いたり指導したりしてお金を稼ぐのは辞めよう」と決めて、楽器店に就職しました。約10年の間ほとんど楽器を吹かなかったのですが、その期間に「バジル・クリッツァー先生」の存在を知ります。
怪しいガイジン
正直に言いますが、私にとってバジル先生の第一印象は、決して好意的なものでは無かったのですよね。まだお会いしたことも無かったのに失礼な話です。
楽器店の店員なわけですから、当然楽譜や音楽関連書籍も扱います。当時は学校営業が主でしたので吹奏楽の楽譜や情報誌を扱うのがほとんどで、当時はお客さんからバジル先生の名前が出ることは一度もありませんでした。
学生時代にちょっと本を読んでアレクサンダーテクニークの存在だけは知っていたので、「あー、なんか怪しいガイジンがアレクサンダーの事を書いてる本があるな。。」くらいの印象しかありませんでした。(バジル先生ゴメンナサイm(_ _)m)
YouTubeが私に与えた衝撃
そんなある日、それまであまり見なかったYouTubeを見ていて、バジル先生のレッスン動画を見る機会がありました。
楽器も持たず、助言だけの短時間レッスンなのに、受講者の問題があっという間に解決していくのを見て「なんじゃこりゃ?何が起こっているんだ?この人は何者なんだ??」と驚きながらバジル先生のその他の動画を見まくったのが転機となりました。
発想の転換がもたらした好調
その後に見た動画の中に「アンブシュアタイプ」や「アンブシュア・モーション」に関するものがありまして、当時の私は相当なショックを受けました。「アンブシュアは動かないほうが良い」というのは私の中では常識になっていましたし、今でもそう思っている人は多いと思います。
そうか、自分に合った法則に従ってさえいれば、アンブシュアは教科書通りじゃなくていいんだ!!と分かって、なんだか霧が晴れたような気分になりました。
その後、会社を辞めて時間が出来たタイミングでトロンボーンを再開しました。
3ヶ月くらいかけてリハビリをしつつ、自分のアンブシュアモーションを探っていきました。
自分のアンブシュアを肯定すると。。
私の場合は、アンブシュアが高音に行くに連れて左下へ、低音に行くに連れて右上に動くことを確認できました。
それに従って演奏するようにしたら、なんと現役の頃より上手く吹けるではないですか!!なんじゃこりゃ?すげー!!こりゃ本物だ!!と、一人で大騒ぎしていましたね。
バジル先生の初めてのレッスン
その後、多くの人がバジル先生に直接教わる機会を作りたいと思って「音楽愛好家のためのアレクサンダーテクニークセミナー松山」を立ち上げ、ようやくバジル先生とのご対面となりました。初めてバジル先生の存在を知ってから5年くらい経ってしまいました。
その時に、私のアンブシュアはいわゆる「低位置」であること、ずっと下向きに出ていると信じていた息が、私の場合は上向きに出ていることを教わりました。
息の方向のイメージが変わった(正しい認識に修正された)ことで更にいい演奏ができるようになって、この素晴らしい体験を自分のものだけにしておくのはもったいないと思って、トロンボーンの指導を再開しました。
松山生まれ松山育ちの私ですが、20年近く松山を離れていたので県外のほうが知り合いが多く、指導や演奏をする機会は県外がほとんどなのが残念なところです。
そんなわけで、私のアンブシュアは「低位置」です。
今日は
- 特にアンブシュアの矯正を指示されたわけでもないのに、自らメスを入れてドツボにハマった黒歴史
- そこから抜け出すことが出来てとってもハッピー&ラッキー!
- 同じような悩みを抱える人がいたら、力になってあげたいと思って指導を再開しました
というお話でした。
それではまたね。
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