おはようございます。みそさんです。今回はちょっとマニアな話です。
みそさんはトロンボーン吹きなわけですが、金管楽器のマウスピースって「寿命」って言葉があまり当てはまらないと思います。寿命があるのかもしれませんけど、木管楽器のマウスピースみたいに頻繁に買う必要がないですからね。
寿命が来たわけではないのに、ついつい何本も買ってしまうのがマウスピース。ついつい買ってしまうのは、ゴルフのクラブなんかも似たようなものなのでしょうか。
世の中にはマウスピースコレクターを自称する人も大勢いますし、その気がなくてもコレクター並みにたくさん持っている人も珍しくないですよね。
どうしてそんなにたくさん買ってしまうんでしょうか?一度に使うのは1個だけなのに。
今日はマウスピース増殖の謎と、マウスピースの選び方についてのおはなしです。
みそさんのマウスピース遍歴
みそさんの場合はどうなのかというと。。どうだっけ?
記憶にあるのを挙げていくと、
- Bach 6-1/2AL
- Bach 6-1/2AM
- Bach 5GS
- Bach 5GB
- Bach 5G
- Bach 5GL
- Bach 4G
- Denis Wick 型番不明
- Tilz NEA 6-1/2AL
- Tilz Prof.Doms たぶん2番
- ヤマハ 48A(アルト用)
- JK 型番不明
- Breslmair P11
- IsleRiche 型番不明
- Bach 7C
- Bach 11C
- willie’s emperador
- willie’s Ländler V2
- willie’s:Montée ←いまココ。
※上記は順不同です。番号順に変えていったわけではありません。
うん、結構買ってますね(汗)
覚えてないのもきっとあるので、ざっと20本ってところでしょうか。
使わなくなったやつは当時の生徒とか後輩とかにあげちゃったので、いますぐ手元にあるのは多分5本くらいだと思います。
比較的長く使ったのはBach 6-1/2ALとBreslmairですね。4Gはバストロ持ち替え用です。
ちなみにちょっと前まで使っていたLändlerはレッチェ(H.Lätzsch)とのマッチングを追求したモデルですが、みそさんはレッチェを吹いているわけではありません。
レッチェについてはダクさんのホームページでご覧ください。
なぜマウスピースをいろいろ変えるのか。
マウスピースはスポーツ選手にとっての靴みたいなものだと思っています。
自分にあったサイズでないとうまく走れないし、踏ん張りもききませんよね。
競技に応じて最適な靴も変わって然るべきでしょう。
最初は借り物を使うことが多いと思うのですが、もしこれがスポーツの場合だったら、借り物のシューズで何ヶ月も練習したりしないでしょう。
サイズの問題だけでは無く衛生面を考えても、ある程度早い段階で自分専用のマウスピースを持つべきだと思います。
さて、ここからは既に持っているやつをなぜ買い換えるのかというおはなしです。
大当たりを求めて買う。
マウスピースは大量生産品と手工品(ハンドメイド)に別れまして、お値段も性能も全然違います。
ここでは大量生産品の場合の話をしますが、いわゆる個体差(品質のばらつき)っていうのがあるので、同じモデルでも微妙に差があるんですね。
具体的には切削のときにカッターの切れ味や、研磨の具合によって変わる場合が多いようです。
ビンテージ品などでは穴の中心がずれていることもあるんだとか。
ビンテージ品ということで言えば、古いBachのマウスピースなんかだと、製造年によって同じ品番なのに全然違う設計のモデルが存在するんだそうです。
当時のプレイヤーの要望を汲み取って柔軟に変化していたんでしょうね。
いわゆる「当たり」マウスピースは誰しもが欲しがるわけですけど、それを求めて買い続けるパターンです。
好みの音色に近づきたくて買う。
もうひとつは、習熟段階に応じて吹きやすいモデルや求める音色などが変わるので、そちらを追求して買い換えるパターンです。知らないやつや新しいのが出たら、とりあえず買うっていう人もいるんだとか。
演奏するジャンルが変わることでマウスピースを変えることもあるでしょうね。
吹奏楽とオーケストラではあまり変わらないと思いますが、軽音楽がメインになるようなら楽器も含めて変わってもおかしくないです。
でも、自分の理想とするプレイスタイルが曖昧だったり、趣味がころころ変わったりして、「これで最後のつもり」で気に入ったものを手に入れても、自分に最も適しているやつを探し続けてまた買ってしまったり。
あるいは、試奏したときはすごく良かったのに、しばらく吹いてたら元に戻ったなんていうお話もよく聞きます。
こっちの方が「沼」っぽいかもしれませんね。
マウスピースを変えるとどうなる?
それまで残念なマウスピースを吹いていた人が何もかもバッチリなマウスピースに変えると、吹きやすさも音色も、時には音量もずいぶん変わります。
例外もあるかもしれませんが、基本的には例えばベルセクションを変えるよりもマウスピースやリードパイプといった、口に近いところほど道具の変化が音に出やすいです。
逆の例で言えば、マウスピースを落としてほんのちょっと凹んだでけでもかなり影響が出ますが、ベルをぶつけて多少凹ましても演奏にはあまり支障がないでしょう?
そういうことです。
勘違いしないでほしいのですが、音色を作っているのはあくまでも自分自身であって、道具(楽器やマウスピースなど)の違いは、それが「やりやすい」か「やりにくい」かの違いなんだと思ってもらったほうがいいと思います。なんでもできるパーフェクトな道具は存在しません。たぶん。
みそさんが学生の頃は「バストロか?」っていうような大きいマウスピースでダークに吹くのが流行ったんですけど、みそさんはそっち方向には行きませんでした。行きたくても無理でしたけどね。明るいほうが好きだし。
余談ですが、音色の明るい・暗いなどの感じ方(表し方)は、海外のプレイヤーに話を聞くと真逆なことがあります。おもしろいですよね。
買うならどのように選ぶのが正解なのか?
正解ってあるんでしょうかね?人それぞれなのかもしれません。
初心者と上級者では注目するべきポイントも違うでしょう。
特に初心者の場合は、ひとりで決めないでなるべく専門家の意見を聞きながら選ぶことをおすすめします。
身近に専門家がいなければ、信頼のおける先輩などでもいいです。
上級者であっても、誰かに聴いてもらって客観的な意見を聞くのは大切です。
マウスピースでバズィングをしただけで決めてしまう人も結構いますが、マウスピースは楽器を構成する一部分(ピース)に過ぎないので、多くの場合は楽器につけて吹かないと本当の良さも欠点もわからないと思います。
前述のとおり個体差っていうものもありますので、試奏せずに買うとか、ネットで買うのとかはあまりおすすめしません。
マウスピースの一般知識
引用元:ヤマハ株式会社、株式会社ヤマハミュージックジャパン
https://jp.yamaha.com/products/contents/winds/mouthpieces/function/index.html
項目がたくさんありますが、吹き手が気に留めるべきことはそんなに多くないと思っています。
多くの人はリム内径とカップ形状、カップの深さくらいしか気にしないでしょう。
スロートとバックボアも重要だと思いますが、後述するようにあくまで参考知識として知っていてもいいくらいだと思います。
各部の詳細な説明は、上記リンク先にてご確認いただければと思います。
クラシック音楽をやる場合でよく使われるモデルを紹介しますと、
■ヤマハ
- 48
- 51C4
■Bach
- 6-1/2AL
- 6-1/2AM
- 5GS
- 5G
■Tilz(ティルツ)、XO(エックスオー)
- Bachと同じ
※上記は全て太管テナーの場合です。
上記はいい意味で中庸なモデルばかりです。初心者のうちはこの中から選んでおけばとりあえず問題ありません。ただ、Tilz(Bakoモデル)は他と比べてスロートがちょっと太いんじゃないかと感じます。体格が小さめな人にはしんどいかもしれませんね。
気を付けてほしいのですが、Bachには6-1/2Aというモデルもあります。
細管の6-1/2Aはいいマウスピースだと思いますが、太管の方は全然人気がありません。私もおすすめしません。
でも、Bachの楽器を買ったらこれが付いてくるので、そのまま使っている人もいます。
直ちに6-1/2ALあたりに変えたほうが幸せです。たぶん。
ちなみにみそさんのおすすめはエックスオーです。
みそさんはこう選ぶ。
みそさんの場合は、willie’sの中込さんと知り合って、たくさんお話を聞かせていただいて、実際にマウスピース選びにもお付き合いいただいたりして、自分なりになんとなく「選び方」みたいなのもわかってきました。
しかし1to1で個別にお話しするならともかく、ブログで書くには書くことが多過ぎます。薄い本(!)が書けそうな分量です。
それに、理論武装して理屈で考えても、実際に吹いてみたらなかなかその通りにはならないものです。
というわけなので「かなーりざっくり」にはなりますが、みそさんの選び方をお話ししますね。
マウスピースに関して最優先すべきはズバリ、「リム」です。
ひとことで言えば、口に当てたときの感触です。
これがしっくりこないやつは、みそさん的には却下です。
吹き続けていれば慣れると思うかもしれませんが、おそらく慣れないと思います。
マウスピースカタログを見ればいろんな事が書いてありますけど、吹く人の歯型や骨格、筋肉の付き方やそれぞれの楽器との相性、プレイスタイル等まで考慮して書いていません。
あまりカタログの記載内容にとらわれすぎない方がいいと思います。カタログがパフォーマンスを保証してくれるわけでは無いんですから。あくまで参考程度に留めましょう。
ちなみに、各社のカタログ数値を比較することもあると思うのですが、あれは各社がそれぞれ発表しているものであって、同じ人が同じ基準で同じ場所を測ったものではないのでご注意を。
要するに、カタログ数値が同じでも実際には異なる可能性が大だということです。
気に入ったリムの中から選ぶことにすれば、選択肢は随分少なくなって選びやすくなりますよね。吹きやすさを必要以上に犠牲にしていなければ、あとはいろいろ吹いてチェックしていきます。全音域での反応や音程のとりやすさ、音色・音質の均一さ、音量とそれに伴うコントロール性など。
それでも悩むのが常ですが、最終的には「これが欲しい!」という直感に従ってもいいように思います。そのかわり、合奏で使う場合は仲間の意見も十分に考慮しましょう。仲間に好かれない音で吹いていても幸せになるのは難しいと思います。
あなたの隣の人が、あなたの嫌いな音色で吹いていたらイヤでしょう?
基本的に、昔から私の道具選びは「吹きやすさと音色の良さを天秤にかけるとしたら、6:4くらいで吹きやすさを優先すれば失敗しない」というポリシー(?)に従っています。
いまのところ、それで間違ってないと思っています。
太管だけど小さめなマウスピースが欲しい時。
ところで、トロンボーンの太管マウスピースは多くのメーカーで6-1/2相当(リム内径25.40mm)が最小サイズです。いいですか?最小ですよ。
だがしかしですね、少なくとも日本人の場合は成人男性でも6-1/2が適正サイズっていう人がとっても多いんですよ。
もう一度言いますが、6-1/2は太管最小サイズなんです。
なので成人男性と比べて体格の小さい女性も子どもも、それ以下のサイズを探すと細管用を使うしか選択肢がありません。
ヤマハには47っていうのがありますけど、個人的にはBach 7C相当のお手頃な太管マウスピースがあってもいいんじゃないかと思ってます。シルキーにも47と47C4がありますけど、ちょっとお高いので子どもは買いにくい。
トロンボーンが太管化していった歴史を考えれば、そうなっている理由もわからんでもないですが、そういうの求めてる人もたくさんいるんじゃないかと思いますけどね。
ちなみに、細管用マウスピースもアダプターを噛ませて太管の楽器に付けることができます。
なんとなく妥協したような気になりますが、いざ吹いてみると、多くの人が思っているよりずっといい感じになることが多いです。機会があれば一度お試しください。
※まれにアダプターが付けられないマウスピースもあります。
何本も買うぐらいならハンドメイドの方がおすすめ。
大量生産品のマウスピースは銀メッキだと7~8,000円くらい。
ハンドメイドマウスピースはだいたい2~30,000円。ものによってはそれ以上します。
余談ですが、Bachの金メッキは20,000円以上しますが、銀メッキを買って後から金メッキをかけた方が安上がりになることもあります。
ハンドメイドは大量生産品のざっと3倍くらいの値段です。
ですが、大量生産品のハズレを3回買ってしまうことを考えれば、ハンドメイドは実はめちゃめちゃ高いわけではない事に気が付きませんか?
素晴らしいマウスピースを手に入れると、突然上達したような気分になります。実際、別人のようにパフォーマンスが良くなる人も多いです。なので、試奏だけのつもりでいたのに、吹いたら欲しくてたまらなくなる。なんてのも「あるある」ですw
ハンドメイドマウスピースを何種類も試奏できる機会は松山だとそうそう無いのですけど、近県には前述の中込さんが時々来ていますね。松山にも呼んでほしいんじゃけどな。
マウスピース沼はまだましな方なのかも。
気が付かないうちについつい増えてしまうマウスピース。決して安いものではないし、楽器演奏以外には使い道がない。みそさんも人の事言えないんですけど、困ったもんですよね。
ですが、大丈夫です。我々の他にも大変な人たちがいます。
そう、ギタリストのみなさんです。
マウスピースは増えてもそんなに場所取りませんけど、ギタリストのみなさんは「楽器」を何本も買ってしまう人がとても多いそうです。何十本も買っちゃう人もいるんだとか。
もちろん、楽器だけで終わるわけがなくて、機材もアンプも増えます。いずれもかさばります。奥さんにバレて怒られる人も多いんだそうですよ。
新しい楽器が欲しくなったら、「どうやってお金を工面するか」ではなく、「どうやって買ったことを隠すか」を考えないといけないそうで、我々とは違う次元のことに悩んでおられるご様子。
大丈夫です。大変なのは我々だけではないのですよw
みなさんが、素敵なマウスピースと出会えますように。
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