おはようございます。みそさんです。
えひめでマーチングを盛り上げるために何かできることはないか。えひめでマーチングが盛り上がらない原因は何かを考えていくシリーズ企画の第2回です。
前回の記事はこちら↓です。
えひめの実情について考える前に、今回はマーチングの本場アメリカと日本の「マーチングを取り巻く環境の違い」について考えていきたいと思います。
日本の環境についてはなんとなく察しがつくところも多いかと思いますので、アメリカの場合を書いていきます。
アメリカのマーチング事情
日本でマーチング留学をするといえば、行き先はほぼ100%がアメリカです。
アメリカにはDCI(Drum Corps International)という日本で言うところのマーチングバンド協会のようなものがあり、毎年夏にDCI World Championshipという世界一のドラムコーを競う大会が行われています。
DCIのレギュレーションでは22歳までしか参加できないので、大学生が1年休学して参加するというパターンが多いのではないでしょうか?
アメリカには他にもBOAやWGIといったマーチングバンドの大きな大会がありますが、アメリカのマーチング人気はこのようなコンテストだけで成り立っているわけではありません。
アメフトとマーチングの関係
さて、ちょっとイメージしてみてください。アメリカで盛んなスポーツと言えば何でしょうか?
野球(MLB)、バスケ(NBA)、アイスホッケー(NHL)、そしてアメフト(NFL)の4つは、4大プロスポーツリーグとして知られています。
いま、日本ではラグビーのワールドカップが開催されていますが、お客さん相当入ってますよね。盛り上がってますよね。1試合あたりの観客動員数は平均3万5千人くらいらしいです。
それに対して、アメフト(NFL)の試合では観客動員数が平均6万人以上らしいです。すごいですよね。スポーツ観客動員数ではダントツです。
ちなみに、日本のプロ野球の場合は平均2万5千人くらいなんだそうですよ。
何の話をしているんだ?と思われたかもしれませんが、アメリカでのマーチング人気はこのアメフト人気と大きく関わりがあるんです。
ハーフタイム・ショーとマーチング
アメフトのように前半・後半に別れていてハーフタイムがある試合には「ハーフタイム・ショー」というのがあります。いつから始まったのかは知りませんが、アメリカではアメフトのハーフタイム・ショーでマーチングが行われることが多いです。
NFLの試合だけでなく、高校や大学の試合では対戦する学校同士のマーチングバンドが演奏・演技を披露して、さながら応援合戦のようになるみたいですし、ハーフタイム・ショーで披露されるマーチングは、試合と同様に多くの人達に喜ばれ、愛されています。
こうした学校のマーチングバンドのショー・スタイルは「カレッジ・スタイル」と呼ばれています。
アメリカの大学生バンドって日本では想像しにくいですが、100人以上の大編成は珍しくないんです。めちゃくちゃ大編成です。
コー・スタイルに比べて複雑でエキサイティングなショーではありませんが、誰にでも一目でわかりやすい構成やダンスのようなステップを多用したものが多いように思います。
日本で「カレッジ・スタイル」と言えば、今はもう無くなってしまいましたが「阪急少年音楽隊」が有名でしょうかね。
阪急少年音楽隊については私も詳しくありませんが、阪急商業学園が無くなった後に早稲田摂陵高校に吸収されたとか聞きました。
アメフト同様にマーチングもアメリカでは人気
さて、そんなわけで
- アメリカではアメフトが超人気スポーツである。
- 学生でもプロでも、アメフトのハーフタイム・ショーではマーチングバンドが大活躍。
- マーチングはアメフトを観に来たお客さんにも歓迎されている。
- 大勢の人にとってマーチングバンドは身近な存在であり、人気も高い。
という図式が出来上がるわけです。これは日本には無いものですよね。
日本に比べて圧倒的に露出が高いことはおわかりいただけるかと思います。
もうひとつのマーチング。ドラムコー。
また、マーチングバンドの潮流には学校の活動とは別にもう一つありまして、それが「コー・スタイル」とか「ドラム・コー」と呼ばれるものです。
こちらは学校のバンドとはちょっと趣が異なりまして、第2次世界大戦後の不安定な社会の中で、青少年の健全育成のために在郷軍人会や地域社会団体の後押しによって生まれたもので、趣は随分異なりますがアメリカ版のボーイスカウトのような位置づけのバンドだったようです。
かつて全米で約1,000団体あったといわれるドラムコーは現在では随分減ってしまいましたが、エキサイティングな演奏、複雑なドリル、洗練されたビジュアル等、カレッジ・スタイルでは追求されない魅力に溢れています。
日本で「アメリカのマーチング」といえば、主にDCI World Championshipのことを指して言うことが多いです。
アメリカを真似るのはいいけど。
そんなわけで、日本とアメリカとではあまりにもマーチングを取り巻く環境が違います。
DCIでは1シーズンのショーを作り上げるのに膨大な時間とお金をつぎ込んでいるし、メンバーは全米はもちろん、海外からも集まってきてオーディションを行っています。
ファンの数も圧倒的に違います。DCIだけをとってみても、予選を含めると1シーズンに述べ40万人が観に来るというのですから。フットボールファンでマーチングも好き、という人も含めれば1桁増えるかもしれませんね。
人気があるから人もお金も集まる。同じことをそのまま日本でやろうとするのは無理があります。
日本とアメリカとでは事情が異なるので、日本ならではの良さをアピールしていくようにしないと、いろいろと無理が生じます。これはマーチングバンドのディレクターなら誰しも思っていることでしょう。
今日のまとめ
今回はアメリカのマーチング事情についておさらいしてみました。
次回からはいよいよ、愛媛の場合の話を考えていきたいと思っています。
記事に関する質問やご意見・ご要望など、お寄せいただくと励みになります。
また、楽器について身近に相談できる人がいなかったり、詳しい人がいなかったりする方からのメール相談もお受けしていますので、お気軽にご相談くださいね。
それではまた。
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